低血糖への対処法~食事から見る原因と対策


スポンサーリンク

国内で現在の糖尿病患者の9割以上を占めるのが、生活習慣の乱れや加齢が発症に深く関わっている「2型糖尿病」ですが、残りの5%が、すい臓の細胞が破壊されインスリンの分泌が行われなくなる「1型糖尿病」の患者に分類されます。


1型糖尿病の原因解明はまだ途上ですが、肥満など生活習慣の乱れが関与していないことが特徴です。その治療法もインスリン注射による補充が主で、食事も発症前と比べほぼ制限されることがありません。


これまで1型糖尿病は小児~若年期に急激に発症することが多いと言われてきましたが、中高年になって突然発症するケースもあることが最近わかってきました。

さらに発症の段階で1型か2型か判別がつきにくいケースや、1型と診断されていながら2型を併発するケースなども見られます。

しがたって1型・2型の別にかかわらず、これまで一般にインスリン療法を行なっている患者の症状と考えられてきた「低血糖」について、発生原因や症状、そして食事を通じた対処のコツについて、ある程度知っておく必要があります。


低血糖は、血糖値がおおむね60mg/dl以下になった状態を指しますが、インスリン療法や血糖降下薬による治療を行なっている患者は、血糖値がもっと高くても低血糖の症状が出るケースがあります。


症状としてはだるさ・めまい・空腹感・脱力感といった初期症状からはじまり、動悸や冷や汗・手足の震えといった典型的な交感神経症状が現れます。

放置しておくと意識を失い昏睡に至ることになりますが、これらの症状は必ずしも順を追って現れるものではなく、個々人の血糖値の低下度合いによって異なる点には注意が必要です。


急に意識を失ってしまう方もいますし、逆に血糖値が相当下がっても低血糖の症状が現れにくい方もいます。

ちなみに高齢者の糖尿病患者の場合、低血糖による異常行動がしばしば認知症とも混同されることがあるそうです。


低血糖症が起きる原因としては、上で述べたインスリン療法によるもの、すなわちインスリンが増量されたときに起きることが確かに多いのですが、1型糖尿病の早期の患者の場合は、食事療法のみしかしていなくても、食事から数時間後に低血糖の症状を起こすこともあります。


食事に関連する低血糖の主な原因には、糖質の摂取量が少なかったり、食事時間が過度に遅れたり、あるいは空腹時に飲酒したことによりアルコールが肝臓からのブドウ糖放出が抑制された場合などがあげられています。


スポンサーリンク

いずれにせよ絶対に我慢せず、「血糖値をすみやかに上げること」が低血糖の対策であり、症状が軽くてもすぐ予防的に対応することがポイントになります。

できるだけすみやかに砂糖やブドウ糖を摂取することにより、多くの場合15~20分程度で、症状が治まってきます。


外出時には緊急を想定し、少なくとも1回分が20グラム程度のブドウ糖や砂糖を、2~3回分は携帯するようにします。

ちなみに外出時は、万一に備え「私は糖尿病患者です」と記載された「IDカード(緊急事態用カード)」を携帯してもらいましょう。

療養グッズ一覧(3) 糖尿病患者用IDカード(日本糖尿病協会)


糖質は分子の大きさによって多糖類・二糖類・単糖類に分けられますが、厳密には低血糖からの回復スピードが一番早い「(単糖類の)ブドウ糖」の摂取が、低血糖対策としてベストになります。

同程度の糖分を含んだジュースやスポーツドリンク(200~300ml)の飲用によっても代用できますが、飴やチョコレートは携帯に優れるものの、胃で溶けて吸収されるまで多少時間がかかるので、緊急時に間に合わない恐れがあることには注意が必要です。


ちなみに低血糖が心配で甘いもの(糖質)をとり過ぎて、逆に血糖値が上がってしまうケースがあります。

このような場合は、一番近い時間にくる食事で調節するのがよいでしょう。


すなわち次の食事時間が近ければ食事をとり、食事まで時間があるときや食事に遅れた時は、指示エネルギーとは関係なく、低血糖の再発を防止するために糖質の多い食品を「補食」として摂ります。

量としてはおにぎり1個、バナナ1本程度が目安となります。


補食は、ルールなく余分にオヤツとしてケーキやお菓子などを食べる、いわゆる「間食」とは明確に異なるものです。

低血糖防止のための補食のつもりが、つい食べ過ぎて逆に高血糖を招く恐れもありますので、ここでも節度とバランス感覚が必須となります。


次の記事は「妊娠糖尿病の食事療法~血糖コントロールと栄養バランス」です。

ひとつ前の記事は「メニューと調理法を工夫して、ストレスの無い食事を楽しむ」です。


 すべての記事は⇒こちらから

スポンサーリンク

カテゴリ


関連サイト

糖尿病の薬とその種類 基本が知りたい
糖尿病と運動 実行のポイントとコツ
脂肪肝の症状と治療 食事療法と運動
脳梗塞の前兆と症状~予防・治療の概要を知る
内臓脂肪 減らすためのコツと急所
高脂血症、何が問題か~原因と治療(薬・食事・運動)


本サイトの情報提供について

本サイト「糖尿病の食事 効果的に続ける方法」は、糖尿病の食事および糖尿病食とその減らし方に関わる情報のご提供が目的です。あくまで、これらに関わる広範な一般的知識と情報提供を行うことを趣旨としており、またこれらの情報提供行為により、何らの責任を負うものではありません。本サイトに登場する関連情報につきましては、ご自身の判断のもとご使用・ご利用いただくようお願いいたします。

プライバシーポリシー

本サイト内には、第三者配信(広告配信事業者としてのGoogle)による広告配信において「Webビーコン」「cookie(クッキー)」と呼ばれる技術を使用しているページがあります。Webビーコンは特定のページに何回のアクセスがなされたかを知るための技術であり、またクッキーはサイト利用者がウェブサイトを訪れた際にサイト利用者のコンピューター内に記録される小さなファイルです。このような広告配信事業者は、ユーザーの興味に基づく商品やサービスの広告を表示するため、当サイトや他サイトへのアクセスに関する情報を使用することがあります。但し記録される情報には、皆様の氏名やEメールアドレスや電話番号や住所などの、個人を特定する情報は含まれません。クッキーは皆様のブラウザを識別することはできますが、皆様自身を識別することはできません。クッキーを受け入れたくない場合は、使用しないよう拒否設定することが可能です。このプロセスの詳細やこのような情報が広告配信事業者に使用されないようにする方法についてはこちらをクリックしてください。

TOPPAGE  TOP