メニューと調理法を工夫して、ストレスの無い食事を楽しむ


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糖尿病の食事においては「これは食べてはいけない」という食品がない一方、「これを食べれば治る」という決定的な食品や食材もありません。

合併症の治療中で、医師や管理栄養士から摂取の制限・禁止を受けているようなケースを除いて、適正な摂取範囲に収まる限り、何を食べてもよいわけです。


食事療法は糖尿病治療の中核となるものでありながら、食材や食事の栄養バランス・摂取カロリー量などに、どうしても目がいきがちです。

その一方、毎日の所作であることから生じる調理時間や調理の手間そのもの、あるいは食べられないかもしれないという疑念から生じるストレスなどは、どうしても見落とされがちになります。


糖尿病になるくらいですから、基本的にほとんどの方はオーバーカロリー気味の食生活を送っていたはずです。

これまでと同様の食生活・食事量をキープできなくなることがむしろ当たり前なのですが、その一方で食事スタイルの大幅な変化を迫られることからくるストレスが避けがたいというのも、また無理からぬことです。

ここは発想を転換して、食事療法を「強制感のある、終わりなき治療の一環」としてとらえるのではなく、現在の健康な生活を維持するために、自らの意思によって選びとった、工夫次第で充実できる一つのライフスタイル」と考えてみてはいかがでしょうか。


たとえば主食となるご飯。白米は玄米に変えるだけで、食物繊維の摂取量も増えます。よく噛む必要があるので、満腹感も比較的得られやすくなります。

ご飯を炊く時に混ぜるだけで、ご飯単体と比べて3割強のカロリーをカットでき、同時に食物繊維も摂取できる「こんにゃく米」も販売されているので、これらを導入することも満腹感を得る一助になります。


野菜は、生で食べることばかりがよいとは限りません。

野菜の調理法でより簡単なのは、「蒸す」あるいは「ゆでる」ことです。

特にゆでると全体のかさが減るので、野菜の摂取量を増やしやすくなって一石二鳥です。

たけのこや干ししいたけ・こんにゃくなど、低エネルギーでかさを増やしやすく、噛みごたえのある食材をミックスすることで、さらに食事の満足感が得やすくなります。


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総エネルギー量が洋食に比べて少ない、食材の種類を多くしやすく栄養バランスもとりやすい等のメリットがあるため、和食を中心に考えるのが基本になります。


しかし誤解したくないのは、和食といっても、天ぷらのような油料理もあるので必ずしも低カロリー・低エネルギーでは無いことです。

醤油を多く使った煮付けなど塩分過剰となるリスクがありますし、また和食が推奨されるからといって、洋食あるいは中華料理を楽しんではダメということにもなりません。


たしかに洋食の場合は、バターや生クリーム・ドレッシング類を多く使うことによる油や脂肪の過剰摂取・エネルギー過多、また中華の場合は麺類からくる摂取エネルギー量の過多、調味料からくる油や塩分の摂り過ぎなどに注意が必要になります。

しかしこれらも、調理の段階で使用する材料や調味料の工夫・あるいは食べる分量の調整や、野菜サラダの付け合せによる栄養バランスの修正など、工夫次第で乗り切ることはできます。


毎回の調理にかかる肉体的・時間的な負担を減らすために、市販の弁当や冷凍食品を利用する機会も出てくるでしょう。

昼食を弁当で済ませるときは、トータルのカロリーに注意するだけでなく、多く食材を使っている幕の内弁当的なものを選ぶようにします。


弁当類は天ぷらや揚げ物などが副菜となっていることがほとんどなので、油を多く使ったものは残すか衣を外すようにします。

衣を一口も食べないのではストレスがたまると感じる場合、全部食べずに残すことが次善の策となります。


また塩分を多く使っている昆布巻きや漬け物、そして白飯も外食同様に、少し残すことを習慣づけたいものです。

寿司・天丼・カツ丼など、ご飯と魚や肉のメイン一品から構成される食事はそれだけでは栄養バランスが良いとは言えないため、できれば野菜の小鉢などを追加で一品、付け合わせるとよいでしょう。


冷凍食品は、糖尿病患者専用の冷凍食品がすでに多種類販売されているので、必要に応じて利用してみるとよいでしょう。

食後のデザートとしては、カロリーや糖質を従来品に比べ大幅にカットしたケーキやアイスクリーム類も販売されていますから、食事メニューのバリエーションを維持することは、工夫次第でそれほど難しくならないはずです。


冒頭に述べたように、「食べ過ぎはまずいが、食べてはダメということではない」ことを基本線に、1日の食事量・エネルギー量や栄養バランスあるいは摂取塩分量の上限を守りながら、3食のバランスをとりつつ食事をどう楽しんでいくかが、ポイントになります。


「食べてはいけない」ではなく「どう工夫したら、おいしく食べられるか」という前向きな発想が、糖尿病の食事療法を生涯続けるには大切であることを覚えておきたいものです。


次の記事は「低血糖への対処法~食事から見る原因と対策」です。

ひとつ前の記事は「食事療法を続けるための自分ルールと、家族の協力」です。


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