糖尿病の食事、無理のない減塩のポイント


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実は糖尿病は高血圧と合併しやすい病気であり、しかも相互的な関係にあります。


糖尿病の人が高血圧を起こす割合は、そうでない人に比べて約2倍高くなるという調査結果もあります。血糖値の異常やインスリン抵抗性のために動脈硬化を起こす可能性も高まるため、心血管疾患を起こすリスクも倍増します。


また糖尿病の3大合併症の一つに「糖尿病性腎症」がありますが、腎機能の低下によってナトリウムの体内からの排泄が上手くいかず、浮腫(むくみ)や心不全を起こす可能性があるため、病状によっては塩分を制限した食事療法が行われることがあります。


食事における塩分制限はインスリンの効きを改善するので、病状の進行を防ぎ治療効果をあげるためにも、極めて重要です。

しかし食事における塩分制限は、糖尿病のみならず高血圧においても、極めて難しい療法のひとつです(関連して高血圧の食事療法については「高血圧に負けない食事~食事療法のツボと効く食材」をご参照下さい)。


その原因の第一は、我々が実際にとっている塩分量が理想値(推奨値)に比べてあまりに開きがあることです。

厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2010年版)によると、健常な男性の塩分摂取量の目標値は1日9グラム未満、女性は7.5グラム未満です。

日本高血圧学会による1日にとるべき塩分量の推奨値は6グラム、そして糖尿病における推奨値も、同じく6グラムとされています。


しかるに実際に私たちがとっている塩分量(2008年調査)は、男性11.9グラム、女性10.1グラムで、目標数値の倍近く摂取しているのが現状です。


漬物や濃口の味噌汁が好きなど、一日に15グラム以上の塩分を食事から摂っている人だって決して珍しくないでしょう。

濃い味つけの食事に慣れた方が塩分制限を取り入れると、薄味で食事がまずくなった印象を持つことが多いものです。

しかしこれは見方を変えれば、塩を多く使って調理の素材・具材が本来持っているおいしさを引き出すことに失敗し続けてきた結果とも言えます。


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食塩を控えて料理がまずくなるということは、原理的にはありません。

これは味覚の慣れの問題であり、塩分を控えた食事を3ヶ月も続けていると、逆に以前の味付けの食事が塩辛く感じて食べられない…というくらいに、嗜好が変化してくるものです。


問題となるのは、嗜好の変化を自覚するまでの、糖尿病の食事における減塩のやり方です。

結果を焦って、使用する塩分量をいきな半分にり減らしたりするのは逆効果で、挫折しがちです。

少しずつ舌と味覚を慣らすつもりで、徐々に使う塩の量を減らしていくのがポイントです。


日々の食事では醤油などの調味料や加工食品の多用によって、気づかないままつい多量の塩分を摂取しがちです。

目標値となる1日6グラムまで最終的に塩分量をおさめるためには、さまざまな面での細やかな工夫がどうしても必要です。


本日から家庭で行える工夫として、たとえば以下の方法があります:

・醤油をはじめとする調味料は、すべて減塩タイプのものに変える
・昆布やかつお節などのだし、酢やレモン果汁、あるいは香辛料や香草を上手に使って、結果的に塩の使用割合を減らしていく
・調味料はきちんと測って使うか、あるいはパック入りのものを使うなどして、一度の食事では決められた以上の量を使わない
・特に外食時は注意し、何を注文するかはもとより、「調味料を極力使わない」「ご飯や味噌汁は必ず少しだけ残す」ことを習慣づける


日々の塩分摂取量の把握は、患者を担当する管理栄養士にとっても、あるいは自分自身にとってさえ、意外に難しいものです。

一日の塩分摂取量がどうしても気になる方は、自分の尿を早朝に摂取するだけで前日の摂取塩分量を手軽に調べられる「塩分摂取量簡易測定器」も市販されているため、利用を検討してみるのもよいでしょう。


塩分の過剰摂取は血管にダメージを与え動脈硬化や高血圧・脳血管疾患などの原因となるだけでなく、すでに糖尿病である場合は、ただでさえ弱っている血管の弱体化をさらに促すため、糖尿病性合併症の発症リスクをいっそう強めることにもなります。


ただ「管理栄養士にそう指導されているから」だけではなく、「なぜ塩分制限した食事を摂らなくてはならないのか」についての理屈を、自分なりによく理解し納得したうえで、日々の食事メニューとして実践していくことがきわめて大切です。


次の記事は「食事療法を続けるための自分ルールと、家族の協力」です。

ひとつ前の記事は「食物繊維と表6の食品(きのこ・海藻類) 摂取時の注意点」です。


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