主食(炭水化物)を上手に摂って、血糖値の上昇を抑える
表1に分類されているご飯やパンなどの穀物類・いも類・豆類(大豆以外)は、体を動かすエネルギー源として大切です。
食事療法の目的~カロリー制限だけでは不十分 でも記したとおり、一日のエネルギー源の60%程度は炭水化物から補う必要があるためです。
しかし同時に、表1の食品群は食後血糖値が上昇する主な原因となるため、摂取量を適切にコントロールしなくてはなりません。
「炭水化物」は栄養学的に「糖質」と「食物繊維」に分類されますが、食物繊維は全エネルギー量のわずか5%に過ぎないので、実務上は「炭水化物量≒糖質量」とみなして構いません。
「糖質」は消化吸収のスピードと甘味の違いによって、ブドウ糖・果糖・でんぷん等に分かれています。なかでも脳の活動などを支えるブドウ糖は、体内への吸収スピードが速い特徴があります。
したがって空腹時あるいは早食いの方は、一度に多量の主食を食べ過ぎる傾向があり体内へのブドウ糖の吸収によって急激に血糖値が上がるため、食後高血糖を招きやすくなるので注意が必要です。
糖尿病の食事療法で重視される「安定的な血糖値のコントロール」を実現するには、ご飯やパンなど主食からの摂取エネルギーを欠かすことなく、しかも毎食ごと量が安定するように食べる必要があります。
食品交換表を見ながら、慣れるまではできるだけ計量して食べるようにします。
食品交換表の中の主食(表1)に属する、炭水化物(糖質)の摂取に焦点を当てた「カーボカウント」というアプローチも用意されていますので、最終的にこちらもマスターしたいものです。
「カーボカウント」とは~糖質制限やダイエットと何が違うか
主食の摂取量コントロールのコツは、「計量の工夫」と「食事間隔」、そして「食事の摂り方」にあります。
計量においては、最初のうちは計量カップを使用すべきですが、たとえばご飯なら同じ茶碗であれば盛り付け量もさほど変わらないので、慣れてきたら目分量でもよいでしょう。
またイモ類などを盛り付ける皿もいつも同じサイズのものを使うようにすれば計量を大きく誤ることもないですし、食べ過ぎの予防にもなります。
外食時にラーメンやそばなどを注文すると、どうしても単品で摂りがちになり、かつ塩分の摂り過ぎと栄養バランスの欠如を招きがちです。
スープ類はできるだけ残し、サイドメニューにサラダなどを付け合せてゆっくり噛みながら食べるようにします。
特にごぼうなどの食物繊維を一緒に摂るとブドウ糖の吸収を遅らせることができ、食後高血糖の予防につながります。
食事間隔はできるだけ一日3食を守るようにし、一回で主食を食べ過ぎたときは次の食事で摂る量を減らすなどして、回数を保ったままで一日トータルの分量を調節します。
たとえば食べ過ぎたから一食抜いて一日2食にする…という極端なやり方は、 血糖値のコントロールからみた摂取量・回数・食事時間 でも記したように血糖値の変動を招きやすくなるため、避けるようにしたいものです。
食べる順番は、一度に多量の炭水化物を採らないためにも、野菜などのおかずから先に食べよく噛んで食べるようにしましょう。
脳の満腹中枢が満足するまでに20分程度はかかるそうですから、ゆっくり食べることで食事の充実感にもつながります。
(なお食事の順番や外食の具体的なポイントについては、「糖尿病 4分でわかる食事と食事療法のポイント」もあわせご参照ください。)
糖尿病の食事療法が続きにくい理由のひとつとして、管理栄養士から厳しく糖質の制限を指導されることによる過度のストレスがあります。
禁欲を強いられたあげく暴飲暴食に走ってしまって食事療法そのものを投げ出してしまっては、糖質制限もまったくの逆効果となってしまいます。
ケーキや菓子類だって、合併症が進行中で医師から特別に厳しい糖質管理を受けている状況でもないかぎり少しくらいは食べてもOKなので、その点は気を楽に持つようにしたいものです。
カロリーや糖質を従来品に比べ大幅にカットしたケーキ・アイスクリーム類も販売されているので、それらを上手に取り入れることも考えてみましょう。
主食はともすれば単品で多量に摂取しがちですから、糖尿病のための食事としては、ストレスをためないように適量を摂るためのあれこれとした工夫を楽しめるようになることを、目ざしたいものですね。
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